下関市は中国山地の端、本州の西端にあたり、関門海峡を挟んで九州と向き合い、響灘や周防灘を渡ると山陰、山陽、四国へとつながり、さらに日本海を挟んで朝鮮半島、中国大陸と通じています。このような地理的な環境によってこの地は古くから大陸との交流の窓口としての役割も果たしてきました。そのため、当館の常設展示は、弥生時代から古墳時代の下関市域および隣接地域の歴史だけでなく、考古資料をとおして大陸との交流史にもふれていただけるように、テーマ展示方式を採用しています
古墳時代の下関と古墳の副葬品
綾羅木郷遺跡の史跡公園にある若宮古墳(若宮1号墳)や岩谷古墳をはじめ、秋根2号墳、上ノ山古墳など綾羅木郷遺跡周辺の代表的な古墳から出土した武器や馬具、装身具などの副葬品を中心に、綾羅木郷遺跡や秋根遺跡などの集落遺跡から出土した土器などの生活用具を交えて展示しています。
【古墳の模型】
考古博物館に隣接する史跡公園でみることができる若宮1号墳(前方後円墳)や岩谷古墳(円墳)について、内部の様子が分かるように20分の1の大きさの模型を展示しています。
弥生時代のくらしと弥生土器
考古博物館に隣接する綾羅木郷遺跡の出土品を中心に土器や石器、鉄器などの日常生活用具や勾玉などの装身具をはじめ、祭祀具や炭化米など、この地の弥生人の営みを知るうえで欠かせない出土品を展示しています。また、石製品や木製品の使い方を再現した復元品や弥生時代の人々がどのように生活していたのかを四季の生活パネルによって表現しています。
海からの文化
中国や朝鮮半島との交流を示すものとして、綾羅木郷遺跡出土の土笛、稗田地蔵堂遺跡出土の蓋弓帽、梶栗浜遺跡出土の多紐細文鏡と細形銅剣などの出土品(複製品含む)を展示しています。また、縄文時代から古墳時代にかけての日本・中国・朝鮮半島間の文物交流史を年表形式で紹介しています。
さわる展示
綾羅木郷遺跡を代表する弥生土器「綾羅木式土器」を「みて・さわって・かんじて」学べる常設展示です。
実物をもとにしたレプリカに直接ふれてその形や文様、重さを調べて違いや変化を知ることができます。
また、土器立体パズルをとおして綾羅木式土器の特徴をより理解したり、遺跡から出土する土器の復元作業を疑似体験することができます。
下関市産恐竜卵化石
今から約60年前の昭和35年(1960)に下関市で発見され、昭和40年(1965)に採集された化石は、当時高校生であった採集者が長い間大切に保管していました。平成29年(2017)、この化石の存在を知った研究者が調査した結果、新種の恐竜卵化石であることが明らかとなり、学名「ムルティフィスウ-リトゥス・シモノセキエンシス」と命名されました。さらに、発見された当時、国内では恐竜の化石自体確認されておらず、この恐竜卵化石が日本初の恐竜化石の発見だったことが明らかとなりました。その後、所有者から下関市にこの化石が寄贈され、当館で常設展示することとなりました。